2005/4/3
「母音」とは、「声を口から出した音。」 です。
な、なんとー
実は深い意味があります。「声」とは声帯を振るわせた周波数のある音です。口から出すとは、舌や歯や くちびるで音の出口をふさがずに、のどから唇まで音をとおして出すことです。
私は一応、日本音声学会の会員No.511-160-1101なので、少し音声学をお役に立てたいと思います。 2005年3/26に上智大学で「日本音声学会」音声学セミナーが行われ、上智大学の荒井孝行先生 による素晴らしい講演「音声学のための音響学」を聞いて啓蒙されたので、このページ「WHAT IS VOWEL」を 追加しました。
母音のモデルは下の図で表せます。
これは、理想的なschwa(シュワー)を発音している時の声道モデルです。あいまい母音と呼ばれる[ ə]()の音のモデルです。 このモデルを知っておくと、あとで説明する「あいまい母音の発音」の所が良く理解できます。
図の右が声帯側、左が唇側です。声帯から唇までの距離は成年男子で17cmです。声道モデルは筒状に してあるので、声帯で発生した音波が作る共鳴波は、一番低い周波数は緑の線で書いた 1サイクルの1/4の波です。この波の周波数は簡単に計算できます。1サイクルの波長は17x4=68cmです。 音の速度が340m/secなので、68cmが500個含まれます。つまり500Hzですね。この波には名前が ついています。第1フォルマント(formant)と言います。
次に周波数を上げていったときに出来る共鳴波は赤線で示した第1フォルマント(formant)の 3倍の周波数の1500Hzの波です。この音波を第2フォルマントと呼びます。その上の共鳴する波は 5倍になり、2500Hzです。母音の音の特徴を決めているのは、第1の共鳴波と第2の共鳴波と 言われています。
母音は500Hzや1500Hzしか無いと誤解されても困ります。私の声帯は野暮で太いので、 低い周波数しか出ません。100Hzから500Hzのあいだです。したがって、私が250Hzで声帯を震わせると、 250Hzの母音が口から出てゆきます。高調波も少し出るので、倍音の500Hzで声道が共鳴します。 がんばって500Hzを出すとちょうど声道が17cmなので、とても良く共鳴します。 声道の長さは人により異なります。頭のでかい人は長く、子供は短いのですよ。 女性はもう少し声帯の振動周波数が高く、第2フォルマントのほうが第1フォルマントよりも多く 出るようです。もちろん人により異なります。
では次に、声道モデルと、実際の口との関連を付けて見ましょう。
Copyright(C) 1999-2005 Kiyoshi Matsuzawa. All rights reserved.
HOME |