はじめに

2005/10/26

Version 4.0

この章は「発音教則本」というタイトルの当時からCD版を出してほしいという要望がたくさんありました。 このサイトのコンセプトで『英語耳』を出版しました。2004年の秋です。この本では「発音教則本」のことを「発音バイエル」 と呼びました。本とこのサイトを連携させるために、このサイトでもVersion4からは、「発音バイエル」と呼び変えます。

直接会って発音のお話が出来ると、その診断効果はバツグンです。ところが多くの人に直接会うことは不可能なので、それに近い効果をCDによって、より多くの人と共有出来ることを希望していま した。 CDつきの本が発売されたら、そのCDをネタにさらに皆さんと発音の上達に関する活発な意見交換がやりやすくなると考えていました。『英語耳』『英語耳ドリル』を出版することができたので、このVersion4ではいよいよその夢に一歩近づくことが出来ると思いつつ書いています。

 

 

 

この章「発音バイエル」は文字で書いてあるので、絵と音が欲しいと思っています。
その目的に答えてくれるすばらしいサイトがIowa大学にあります。

Phonetics (Iowa University)
がそれです。
上にあるような口の中のきれいなグラフィックが動いて、選んだ子音、母音の発音を示してくれます。

上記のURLに行き、>QUICKLINKS>English sounds libraryをクリックします。
少し重たいので時間がかかりますが、画面が出てきたら、上部の選択Boxから子音母音を選んでPlayをクリックすれば口の絵が動きます。
(Consonant -> Manner -> Stop -> /p/を選ぶと Pの口の絵が出てきます)

 

どうして日本人は英語の発音が苦手なので しょうか。それには理由があります。この原因がわかれば皆さんにとって有効な対策が打てるはずです。 長い時間をかけても、「どうして上達しないのだろう?」と悩むことを少しでも減らすことができるのではないか?

原因は以下のように考えられます。ほとんどこのような迷信がまだ信じられているからです。

迷信1 発音なんて練習しなくても英語は出来るようになる。
発音がへたでも読み書きが出来ればよい。

発音が出来ないと読み書きも、実は出来ていないのです。目で見た文字の理解も実は脳の中では発音に頼って行っているのです。 ためしに日本語の文章を読んでみてください。頭の中ではなんらかの音が鳴っているはずです。漢字をみても理解される 瞬間には、その漢字の読みが脳の中で必ず再現されています。日本語の理解の場合、読むときも聞くときも脳の同じ 文法処理部分が使われ、脳の同じ単語や熟語の辞書が使われているのです。

英語の場合もまったく同じです。読むときも聞くときも脳の同じ文法処理部分が使われ、脳の同じ単語や熟語の辞書が 使われるようにならないと、英文を会話のスピードで読めるようにならないのです。日本語と同じスピードで英文を 読むレベルには音を避けていては到達できないのです。
  ところがこの事実がきちんと教えられていない。理解されていない。

迷信2 どうせNativeのような発音なんて日本人にできるわけがない。

英語と日本語の発音は、ほぼ全ての音が異なる。(代用できるものが数%はありますが・・・少ないのです。)
どのように異なっていて、どうしたらその異なる音が出せるようになるのかが知られていないのです。わからないから、 諦めてしまうのです。どうしたら英語の発音ができるようになるのかという、日本人用の練習方法がないことが問題です。

「英語の発音は簡単に習得できる。」という事実がぜんぜん知られていない。アメリカ、イギリスに住んでいる日本人でさえも「ちょっとやそっとでは100%聞き取れるようにならない。」と信じている人が多くいる。

英語の発音をきちんと教えられる日本人の先生が少ないこともこの迷信を普及させています。出来ない先生が、 日本人には出来ないと負のマインドコントロールをしているために、それが信じられています。 「やって見せて、やらせてみて、褒めてあげなければできるようにならない。」のに、残念です。 (カタカナ式発音から どうしたら脱皮できるのか、中学校の先生が生徒にその方法をきちんと説明できていないのです。)

日本人はどうしたら、字幕なしで映画を100%理解できるようになりますか?

という質問に対して、きちんと答えられる(プロの)英語(中学・高校の英語の先生もプロのはず)の先生がはたしてどのくらいいるのでしょうか? あなたの英語の先生はどうですか?

 

迷信3 日本に住んでいるだけでは、リスニングが100%にならない。完全な『英語耳』はできない。海外に 住んだり、ネイティブに教わらないと英語は話せるようにならない。

この逆の迷信もあります。「海外に住めば、たちまち英会話が話せるようになる。」

どちらの迷信も本人次第です。

「発音や英語独特の言い回し、微妙なニュアンスは海外に暮らさないと身につかない。」これは英語の上級者になってから心配すればよい問題です。TOEICで900点を越えたころから、あるいは英検の1級をパスした人がそれ以上を目指したときに言うのならば分かりますが、それ以前の人には余計な心配です。

ネイティブに教わらないとダメと考えていきなり「英会話学校に行く」という考え方はさすがに減ってきたようだが・・・、特に危険なのはネイティブだということだけで、きちんと英語を教えられるはずだと信じて英会話学校に通い続けること。(Nativeでも日本語の発音の仕組みがきちんと理解できていないと、日本人に効果的な発音指導ができない。 ここが理解されていない。)

 

この「発音バイエル」は上記の1から3までの迷信の全てをくつがえして答えるためのチャレンジです。わかりやすい発音の習得のために特に 日本語と英語の違いがわかるように、子音と母音の説明に重点を置きました。

このHP (Home Page)のListeningのところでParrot'sLawという方法を 提案しています。リスニング100%をめざした、段階的な練習方法です。これは大変に好評でParrot'sLawの 効果が確かめられ、6ヶ月で英語を100%理解(ヒアリング)できるようになったという報告が寄せられはじめました。反応はまず、英米に住んでいる日本人の英語上級の方々から寄せられ、つづいて中級の人、初級の人にも効果があったというふうに裾野が広がってきています。

Parrot'sLawのPhase 1 は、英語の歌を2曲選んで、300回聞きます。 この300回の間に英語の子音、母音を完全に発音できるようになることが狙いです。

次のPhase 2 は15分くらいの英語のスピーチを100回聞いて英語のアクセントなど子音・母音の発音以外で英語を話す、聞く ために(読み書きも)必要な発音上の全ての要素(これをPROSODYと言います。)を身につけます。

Phase 2 を終了すると、英語の音が95%以上聞き取れるようになります。じゅうぶんに聞き取れるようにならなかった人も、少なくともどうすれば自分は100%聞き取れるようになるのかが具体的に見えて来ると思います。 ただし、言っておきますが聞き取れるようになっても、完全に理解できるとは限りません。語彙も増やす必要があるからです。

Phase 1 を完成させるためには、英語の子音・母音の発音が完全に出来ている必要があります。ところが、発音を習得するための良い教材がありません。

このAMERICAN ENGLISH 発音バイエルは

英語の音声を高い解像力で聞き取れるようになるために、子音・母音をきちんと発音できるような教材を提供する目的で書いています。

ここにあげた65の練習をParrot'sLaw(Listeningの章参照)のPhase 1 と平行して何回か(数十回から数百回)実行すれば、英語のSpeaking, Listeningに必要な、英語の音を聞き分ける脳を作ることができます。