2000/3/1〜3/17
今月は、Parrot'sLawStep2を実践している、3人、ぴいすけさん、Asian Working WomanさんNYのTさんとの具体的な、学習方法などのやりとりができました。
具体例がいちばん参考になるので、できるだけ生の文面で掲載させていただきます。

3/3 From ぴいすけさん
松沢さん、こんにちは。
さて、今日は英語を「理解する」ことについて少し書きます。
最近、エコノミストを読んでいるのですが、一回で理解できません。
アタマから戻らずにワンパラグラフ読んでみるのですが、だいたい60%くらいの解像度です。2回読むと、ほぼ100%理解できるのですが、時間がもったいない。しかも、こういう癖をつけるとリスニングが永遠に伸びないような気がします。そこで今朝は「どーして一回でわからないのだろう?」と原因を探してみました。
すると、

1.文の構造に関する言葉を意識していない。
IFとかALTHOUGHとかが文頭に来ても、ほぼ無視しています。少し進んで、「あれ?何かつながらないな」と思って2回目に「IFさん」が寂しく文頭に座っていらっしゃるのを発見したりする始末です。

2.日本語にない表現方法に慣れていない。
FEW(Aのついていない方)とかUNLESSとか、ちょっとひねった否定形に弱い。読み返している間は、ここで立ち止まれば解決しますが、1回で理解しようとすると、このあたりでコケています。「どーも論理的にあわないな」と不安になったところで2回目に「ぼくのこと置いてきぼりにしてたでしょ」って怒っている「UNLESSさん」に出会いました。

もちろんわからない単語もありますが、文脈から判断できることが多いようです。リスニングで最近苦しんでいる、「音がわかっても理解につながらない」病は、このあたりにありそうです。

こういった構造やら、ちょっとひねった表現に注意しながら、ひたすらリーディングしていくしか道はなさそうです。
松沢さんは、このような経験をされたことがありますか?(とっくの昔で忘れてしまったとか・・・・)

半年ほど前までは、まるで音声が判別できない、という苦しみにあえいでおりましたが、今は音はわかるけど理解が伴わない、という段階です。
もっと素早く理解できたら、いろいろと楽しめるのに・・・。

暖かくなってきました。
今日、こちらでは春の陽気です。


3/4 From NYのTさん
Parrot's Lawで具体的に3つの点で大きな効果があったと報告されています。
おおいにはげみになります。


Hello, Matsuzawa-san,

I'm almost finished with the Parrot's law of yours!
I used President Clinton's speech as a material, because I couldn't get anything worth while(What a shame!).
Let me list up how it had worked (I also used "30 ON" by UDA-san for correcting my pronunciation):

1. What is most important is, since I got to recognize English sounds with a certain precision, I can now pick up new phrases by ears, not by eyes. My process of learning new phrases is first to take notes whenever I
encounter new phrases in my class, then try using in my teaching class.

2. I get to be able to read TIME without much stress, without consulting a dictionary.

3. The ability to understand questions from my students also increased. Formerly, maybe many people won't believe it though, I was taking a guess, since what I could catch sometimes was only one or two key words.

Still, I barely could understand about a half of the movie "Sleepy Hollow" which I saw yesterday. The story was staged at the suburb of NY city in the late 18th century, where people used to speak traditional British English. Especially difficult for me was the accent of the main character. The convoluted story might also have affected my understanding.

Maybe I need to brush up my English ability furthermore.
I can't wait for a long time to be able to understand movies!

p.s. Personally, I feel watching TV dramas increases our ability to make full use of some basic verbs(do, make, get, put, etc) and prepositions at the same time. Since these expression are vivid and coupled with the action, it will also work to develop one's intonation. The problem here is that it may be only useful for advanced learners.

See you and take care.


3/6
To NY-T-san,

I'm really glad to read your progress report.
Yours is our ideal case. I know the Parrot's law works very well for advanced learners.

My problem is that "Advanced" level in Japan is the "Basic" level in the countries of the world.
If you compare a 18 year old student in Japan and in Singapore their "Basic" level student speaks much better English than "advanced" level of a Japanese student.
There is very big educational problem of our country.

I also think that without living in abroad, you can study English and reach "Advanced" level if you have a very good teacher.

I appreciate it if you can send me your advice and comment for our readers from time to time.
Your experience will help to give excellent advice to the serious learners.
Thank you.


3/9 To ぴいすけさん、

「英語を理解する」の考察ありがとうございます。
あたまから戻らずに読む件ですが、以下は私の経験と考えです。

今はThe Bone Collectorを読んでいるので、これで試して見ます。ちょうど読み終えました。これもめちゃくちゃ面白いですよ。

P356
"Interesting. . ." Rhyme reflected. "I thougt he'd
cut the vic's finger to discourage anybody from stealing the ring. But maybe not. Look at his behavior: Cutting the finger off the cabbie and carrying it around. Cutting the German girl's arm and leg. Stealing the bones and the snake skeleton.

例が悪かったかもしれません。短い文ばかりなので、戻る必要がないですね。(文の折り返しは、本のままです。)

かたまり(ブロック)で読むことの確認をしましょう。
特に改行のところをどう続けるかで思考がとぎれてしまうので、改行のところをブロック化してみます。

he'd cut the vic's finger
from stealing the ring.
Cutting the finger off the cabbie
Cutting the German girl's arm (and leg.)
Stealing the bones
(and the snake sleleton.)

ブロックの作り方の考察です。娘の英語が急に上達した時に娘が言ったことが印象的です。
「日本人などが書く文章で動詞があるとその先にあるはずの目的語がないと気持ち悪く感じるそうです。」
日本人の書く英語は間違いとかではなく、気持ちよくないと感じるそうです。

ううむ、そうですか。
そうなんですよね、きっと。
間違っていないのですよね。しかし、どうも収まりが悪いというか・・・。
自分の書いた文とネイティブの同僚の書いた文を見比べると自分の書いた文なのに、どうもしっくりこない、ということがあります。
英語じゃないかんじです。


ブロックの区切り方も、これとおなじです。
動詞が最も重要であると考えています。
動詞と目的語が区切りの目安です。

前置詞も目的語があるので、かたまりは前置詞+目的語です。
stealing the ringをかたまりにすると、fromに戻る必要がでてきます。
fromの目的語は動名詞stealingです。
動詞stealは目的語までを固まりにしないと気持ちが悪いので
from stealing the ring

このあたり、目からうろこ現象です。
fromのあとで区切っていたような気がします。
そこで思考がぶったぎりになっていたのでしょう。


ぴいすけさんご指摘の接続詞ですが、技術的に書くと長くなるので、本質の感じ方の考えを書きます。

なんと言っても重要なのは動詞です。
IFとかAlthoughとかUnlessは二つの動詞がつくる2つの考え、動作を論理的につなげるものです。これにはより高度な脳の働きが要求されます。

日本の子供でも論理的につなげた複合文が理解できるようになるのは幼稚園にあがってからです。

「XXXちゃん、YYYを
しーたーらー、ZZZをあげるからね。」
この場合、おかあさんは、「したら」という接続詞を強調して、ゆっくりていねいに話しますよね。

接続詞は、論理的、時間的な条件を伝えるためにあります。交渉の文章にはたくさん出てきます。
専門書にもたくさん出てきますよね。

本質は、「愛する人に、自分の考えを分かってもらいたい。」と考えると、PROSODYを身につけやすいと思います。愛する人に語り掛ける時には、接続詞は、ゆっくりと、つよく、甘くというPROSODYで話しますよね。

コツは接続詞に出会ったら、ゆっくりと、つよく、
甘くという(PROSODY)で反応すればいいのですよ。

英語の場合、接続詞の前後の文章、句、単語を天秤に載せるときれいにバランスするのが原則です。ベストセラーの作家はみごとにこの原則で書いています。

なるほど。

イメージトレイニングとしては、接続詞がきたら、その両側にてんびんの受け皿が有ると思い、つりあうと思うところまでをかたまりで読むようにします。

このときも、接続詞は、ゆっくりと、つよく、
甘くという(PROSODY)で、頭の中で音を響かせます。
Parrot's Law Step 2で訓練すると、このPROSODYが身に付きます。

「おうむの法則Parrot'sLaw」は実は奥が深いのですよ。

ううむ本当ですね。

Step2がんばってっくださいね。

それと、戻らなくなるためには、読書も必要です。
どのくらいかですか?
ペーパーバックで10冊位読めば完成させることが出来ると思います。
Step2を先に終わらせてください。

なるほど。
早くstep2を終わらせたくなってきました。

本を読むときに、英語のPROSODYで読む必要があるからです。

ヒアリングマラソン1000時間よりも、本を読むほうがヒアリングと戻らなくする訓練になります。なぜかというと、読書のほうが、自分の気分、体調により自分のペースと興味で進められるからです。

この考え方、とっても賛成です。
なぜかというと、リスニングできる人は、読書をどこかで集中してこなしている人だからです。
留学していても、大学院などに行っていた人は、たくさんアサインメントをこなしているので、蓄積がすごいです。


読書は、目で聞くことです。
禅問答のようですが、PROSODYが身に付いてくるとすぐにわかります。

進んだら、またお便り下さい。


さてstep2は、現在50回目あたりなのですが、質問があります。step1と同様に、このあたりでスクリプト見ながら聴くと効果的なのでしょうか?

昨日、40回目が終わったので、聴きながらスクリプトを見て、誤解していた音(またもLでした・・・)と知らない単語をチェックしました。そのあとはまた、ただひたすら聴くことにしていますが・・・。

ところで、先日休みがとれたので4時間ほどエコノミストをがんばって読んでいたところ、Japan Timesを読むのがラクになりました。エコノミスト自体も前ほどつかえずに読めます。単に「慣れ」の問題かと思うのですが、やはりある程度の「量」をこなすことも必要なのだ、と実感しました。

気のせいか、昨日日本語の新聞を読みながらBBCをつけっぱなしにしていると音が耳に飛び込んでくる感覚がありました。

いいですねー、順調に推移しているようですね―。
音が耳に飛び込んでくると言う表現がすばらしいですね。

英語がますます楽しくなってきました。
またメールします。

スクリプトがあれば40回目ぐらいから見たほうが良いと思います。頭にたまった音が文字とつながりたくてじっと待っているはずです。見ることにより、イッキに音と文字が結婚します。

これができると、ほかの本、JapanTimesとかエコノミストとかの読み方がずっと楽になります。読み方というよりか、目で聞く方法を習得できてきます。

学芸会で演技するような気持ちで、Step2を完成させてください。舞台の上で、なりきって話せることが、100回目の目標です。ただし歌と違って長いので、全部覚えられないからと言って、がっかりしないで下さい。

歌の時に経験したと思いますが、何かをしているときに、歌の音が頭の中で響く経験があったとおもいます。気持ち良い音で、そこのところをききたくなったでしょ?

Step2でも、有る部分が頭の中でふっと響いてきたらしめたものです。そこのところを、自分で話したくなると思います。

くりかえすことで、頭のなかで響く英語が気持ちの良いものになります。英語を聞くことが喜びになってきます。
ぴいすけさん、はこの悟りにかなり近いところに来ています。うわきをしないで、Step2を完成させてください。

1度、こう言う訓練で英語を聞き分ける脳ができると、ほかのどんな英語の話し、映画や、ニュースやインタビュー、ラジオなどが喜びをもって聞けるようになります。

本当は、楽しいので、本を読んだり、映画をみたり、AFNを聞いたりしています。そうでないと続かないと思います。



よく、ニュースを聞いて、50%わかるとか、70%わかるとか言う人がいますが、音を聞き取ることに関しては100%セントか0%かのどちらかだと考えられます。
(聞き取ったあとの理解することとは脳の違う部分を使っているようです。)
50%とかとは、日本語のカタカナ発音に結び付けて類推している可能性が大いに有ります。

鵜田さんと会うった時に感じたのですが、お互いに英語の音は全部聞き取れています。発音とPROSODYができている人は、日本語と同じ状態になっています。

言葉がきこえると、思わず意識をそちらにむけますよね。
興味ある内容だと、聞きつづけます。すると音が全部頭(耳)に飛び込んできます。つまんない内容で他に気が行くと、そのとたんに音が聞こえなくなります。これは、英語でも日本語でも、何語でも同じです。

もうすぐすると、聞きたくなくても、勝手に英語の音が全部耳に入って、来るようになるので、以前のように、英語をバックグランドミュージックのようにただ流しては聞けなくなります。意識を向けて全部聞くか、意識を向けないで、全然聞かないかのどちらかを無意識にコントロールするようになります。
日本語と同じです。

日本語のときはどうなっているか意識して見ると、英語の場合の目標が見えてくると思います。

欧米人はだれでも英語を話し、聞いています。ぴいすけさんも絶対に出来ます。日本には、不幸にも、学校で、英語を日本語と同じには使えるようにならない、なってもものすごい大変な努力と才能が要るというふうな、変なマインドコントロールがありますよね。


音を聞くのがたのしくなるのとおなじ原理が読むことに当てはまります。
10冊くらい読むと、そのうちに、自分がハマル本に出会うことが出来ます。
この「はまる」経験が日本語と同じスピードで読めるようになるために必要です。

PageTurnerと言う表現がベストセラーでされますが、「はまる」とほんとうに先を知りたくて、とまらなくなります。

この経験を1度すると、Happy Readerの仲間入りです。